ゴキブリコンビナートの『にぎやかどうぶつ横町』を観た。昨年以来2度目のゴキブリコンビナート観劇。悪名高き劇団の初観劇『いつかギトギトする日』では、ステージから観客席までマングローブの密林のように上下左右に柱が張り巡らされた舞台を猿のように役者たちが蠢き回っていた。でもミュージカル。でもストーリーはサザエさん(風)。ずぶ濡れだったり血のりまみれのサザエやフネや聖火防衛隊がシンギング・レイン状態で客席を走破する。舞台があっちからやってきてくれるなんて親切だなあ。そのエニウェア・フリーウエポンでバックヤードなスタイルに「なるほど、演劇というよりプロレスの場外乱闘だなあ」とソッチ寄りの人間としては早々に納得して楽しめた。そしてこんなことを10年やってるなんて頭おかしいなあ、と深い感銘も。
そして今回。新宿2丁目の地下の会場は客席ゼロのオールスタンディング。入場する時に新聞紙一枚を渡される。それは別に同人誌とかではなく、永源遙のツバプロテクト的なものだ。会場に入ると客席、というかモッシュピット的な客ゾーンの三方が檻に囲まれており、チンコ丸出しの日本人がいた。そして何より気になるのが‥獣臭い。性格には動物のウンコくさい。養豚所や養鶏所が近所にあった自分からすると懐かしいくらいだ。さすが「どうぶつ横町」。
そして「どうぶつ横町」はストーリーが進むにつれ「にぎやか」に。ストーリーに応じて、客席に生きてるニワトリが登場し、鳩が飛び、牛が徘徊する。その他にヤギ・ガチョウもいたし、自分は最後まで確認できなかったがハムスターもいたらしい。動物が出てきた瞬間はキャーと叫び声のひとつも立つけれど、途中からは牛の背中撫でたり、足下をすり抜けてくニワトリに気をつかったりと、とそれなりに観客も対応していく。とはいえ、芝居中牛に尻を向けられて「いきなり糞されたらどうしよう?」なんてスリルを味わえる芝居は初めてだし二度とないだろう。
帰り、一緒に観劇した4人で焼き鳥を食う。さっきまで「こんな芝居に担がれてお前も大変だなあ」とニワトリに同情してたのに。やっぱり人は人、家畜は家畜。