大げさに言えば、偶像か神話。−ももいろクローバーを見て思ったこと。主にプロレス好きな人の視点で。
前にも書いたけれど、K POP・アイドル・アニソン。この3ジャンルを聴いてないと「最新の音楽」は聴いてないのと同じだと最近つくづく思う。別に聴かなくても「知らないんすかww」「オッサンktkr」と指さされたりはしないし、それ以上のいろんな素晴らしい音楽はいくらでもあるけど「今どきの音楽」を聴くのなら耳に入れない方がおかしいわけで。でも「『かわいい』に興味がない」そして「女性ボーカルがあまり好きではない」自分にとってこの3ジャンルは興味あっても立ち入れないジャンルなんだよねえ。とはいえ、皆ワッショイと楽しそうにしてる祭りに参加できないのは悔しい。まあこの3ジャンルは音楽以外の素養も必要とされる分おいそれと入れないのもあるのだけど。
と、思っていたところに「今ももいろクローバーが面白いらしい」という話をやたら聞くようになった。周囲のファンはもちろんアイドル関係者のプッシュも強い。たまたま公式見た日に無料ライブがあると知ったものの、当日の公式の告知によると「ももいろクローバー達は戦国武将の格好で参戦いたします。是非ファンの皆様も戦国の格好でイベントにお越し下さい。 足軽や、武将など何でも構いません。」なんじゃこれは。ハードル高いよ!よし行こう。ということで夕方17時池袋サンシャイン。平日のこの時間なのにガラクタ紳士たちがいっぱいですよ。クリスマスツリーの前に居並ぶピンクの折り紙カブトを被った面々。季節感ゼロだなあ。
ライブの内容に関してはこの辺参照。前半が鎧や山伏姿でのトークで、着替えてから後半はライブ5曲。見終わって最初に思ったのは「今のアイドルってライブで楽しむもんなんだなあ」ということ。ダンスミュージックを通過したももクロのサウンドとあの過剰なダンスを生で見るのと、テレビサイズとでは感動の質が明らかに違う。日常寄りな「今、会えるアイドル」が、非日常のさらに上な「テレビでは見れないライブ」を見せる。こりゃインパクトあるわ。正直、AKB以下のアイドル人気は「昔に比べてかわいいから」じゃないのは皆思ってるだろう。それは何か?というのに答える「かわいいだけではない価値」がこの日見れた気がする。いやホント楽しかった!とりあえずこの日は時間間に合わずCD買えなかったので、次買って前で見ることにしよう。まんまとキたかこれ。ちなみに「怪盗少女」「ピンキージョーンズ」は事前勉強してたから聴いてたけどライブで初聴きだった「ココ★ナツ」はいい曲だなあ。とにかくサビのインパクトが!DJやってたらJuniorSeniorから繋ぎたい感じだ。
というのを見た翌日にアイスリボンに行ったのもあって「アイドルと女子プロ」というのが頭をぐるぐるするように。特にももクロとアイスは毎週のように客前で「過剰な身体能力」を見せる、という意味では似たようなもんだ。成長を楽しみにする感じとかも。ではなぜ自分はアイドルは見ずに女子プロは見るのか?
それを考えていくと両者の違いは「関係性」「ストーリー」の厚みの違いにあるように思える。選手個人個人が試合することでライバル、同期、先輩後輩といった関係性がクローズアップされ、ストーリーが作られていくのがプロレス。もちろんアイドルグループも個人個人のキャラはあるしメンバー間の関係性はあるけれど、それが見えてくるまでには結構時間がかかる。その辺りをUSTなどでカバーしてるのが現代的アイドルスタイルなんだろうけど。
今のアイドル・芸能方面はプロレス的ストーリーも増えてきたとも言うけれど、まず好きになるにはやっぱり直感で「あっ、いいな!」と思わせるカリスマ性や身体能力といった個の魅力、ベタな言い方すればやはり崇拝したくなる「偶像」の魅力が必要。それに対応した言い方すれば、プロレスに必要なのは「関係性やストーリー=神話」ということになるか。いっそ毎回フリースタイルラップでディスり合って関係性やストーリーを作りまくるアイドルグループ出てきたら見逃せないのになあ…。それがアイドルなのかどうかはおいといて。
で、それなのになぜ自分がももクロに興味を持ったのか。もともと自分がももクロに関心持ったきっかけはSKE・スマイレージ・ももクロについて書かれたBUBKA12月号「アイドル戦国時代」を読んだことにある。そこに書かれたももクロのプロレス的戦略の面白さもだけど、それ以外のアイドル記事全体を通して「アイドルグループ同士の関係性」が読めるんだよなー、まさにプロレス的な!グループのひとりが可愛い!とフォーカスする気はなくても、文字どおり「戦国時代」な今のアイドル界は90年代のインディーマット界的混沌感がプンプンしてる。そんなの見るとすぐ関係性を脳内で作っちゃうのがプロレス好きの悪いクセ。で、誰はW☆INGなの?みたいな。
ちなみに今のももクロを見てイメージするプロレスラーは、新日ドーム大会に大日本代表として上がった頃のTAJIRI(田尻義博)。まだマイナーだけど、ギラギラしててオーバーする気満々なあの感じ。とか言いつつも「マブ論」読んで見た東京女子流のジャクソン5ぽい感じも気に入った!今のアイドルは「かわいいから」じゃなく「面白いから」見るに値する、のかもしれない。