サイタマビーチ

フリーライター/イベンターの大坪ケムタの雑記とかイベント告知とかもろもろです。

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おれにもMIXを打たせろ/革命アイドル暴走ちゃん 東京デビュー戦『騒音と闇 ドイツ凱旋ver.』9月28日感想

友人から「むちゃくちゃ面白い」と常々聞いていて、前々から興味あった演劇というかパフォーマンスというかな「暴走ちゃん」。さらっと情報集めたところでは客席に水とか降り注がれるとかゴキブリコンビナートっぽい?あとアイドル&二次元的要素がある?で、実際見たらほんと「体験」としては今年一番クラスだった。せっかくだから、と最前列で見て大正解。合わせられるところはついMIX打ったり、オーイングしちゃってたもの。舞台から喰らったこの昂ぶり、なんかでかい声出してないと消化できない!

具体的な内容書き出したらそれだけで千字二千字越えてしまい、一番気になったこと書けずじまいになりそうなので、公演内容については以下動画参照。ちなみに前説によると「公演中の録音録画、アップロードはすべて”認められております!”」。ただ水ブッかけられるからか意外とアップはされてないな。


革命アイドル暴走ちゃん 2014年9月29日20:00 へんしーん

革命アイドル暴走ちゃん Miss Revolutionary Idol Berserker ...

公演のあいだ目の前で、いや目の前どころか時に観客側に覆いかぶさってくるレベルのゼロ距離で踊ったりオタ芸したりベロキスするスクール水着や日本兵ら男女を見ながら「あー、もうこれ絶対好きっていうか、ここ最近ずっと考えてた『俺の好きなもの』にまつわるあれこれの回答かもしれないものが全部詰まってんじゃないかなあ」と考えてた。狂ったように水と豆腐と紙吹雪ととアイドルソングが頭上からぶちまけられる中で。要は自分が普段見て考えるのが楽しい「アイドル」と「プロレス」の延長線上で楽しめたのですよ。
 
主に流れ続けるBGMはヒャダイン曲やでんぱ組なんかが印象的。上のYoutube見てNMB48ナギイチ」かかってるの気づいた。目の前のバケツ持った人見て「うわー、水ブッかけられるー!」しか考えられなかったからなあ。とにかくハイテンション&ハイテンション、時に緩急。ここ数年のももクロ~でんぱ組が人気なのを見て「人を躁状態にさせる装置としてのアイドルソング」についてふと考えること多かった*1*2のだけど、その「躁装置」としての機能を限界まで引き出すような使い方にひたすら持ってかれた。こちらも叫びたくなるほどの高まりにMIX打ちたくなる、Bメロで「オーッ!」って言いたくなる。その躁状態への意思は曲だけでなく、映像と肉体によるパフォーマンスも同様。ちなみに舞台上では旭日旗や日本兵など軍国主義を思わせるビジュアルが多かった*3のだけど、「今アイドルと軍国主義が今一番日本人を躁状態にさせるもの」という批評として最高だなと感じた。ドイツ人はどう思ったかな?

そして舞台から水や紙吹雪が観客席に大量に撒かれるだけでなく、中国の旧正月のお祝いで使われるような龍を持った男たちが2列め3列めの客の目の前をブッちぎったりと、とにかくどの席にいてもステージと繋がってる感がすごい。もし「ああ良かった、自分は濡れなかった」という感想ですら普段の芝居より近く感じさせたからの成果だろうし。これは自分がプロレスに感じていた「場外乱闘(=ステージが向こうからやってくる)があるスポーツ/エンタメ」という要素に近いというか、そのまんまだ。しかもステージが客側に来るどころか、今回自分んでもよくわからないながら胸を打たれたのが、アンコールの終盤で観客は全員演者に煽られてステージの真中に立たされ、演者は全員客席側で見送る展開。そんな「完全な客と演者の転換」まで見せられたのは初めてだ。それ見て自分でも涙腺に来るものがあったのはなぜだろう。

今のアイドル界でライブが最も熱いヤバいと言われるせのしすたぁのライブが演者が客席に突っ込んでくるので一部で有名だけども、客席の熱を上げるシンプルな方法として演者との距離をどれだけ近づけるか、という場外乱闘的なやり方は暴走ちゃん同様。ただ、本当はそこからどう越えるかが大事であって。伝えるべき熱を放てる人でなければ、ゼロ距離まで来ても意味はない。*4それにこの光景を見て「このやり方じゃ数百人レベルのライブが限界だよ」と言う者もいるけど、それはそれで「その限界を越えるか、越えれないか」のドラマ性が生まれるわけなので、その程度の批判はむしろスパイス。


せのしすたぁ / 戦いの合図 @ 渋谷スターラウンジ (アンコール) 2014/07/12 - YouTube

そして彼女たちのライブでも『ワタシアイドル』で演者・客すべてが土下座するという「演者と客の距離」がさらにおかしくなる時間がある。だからこそ違う世界が見れる。それだけに暴走ちゃん、客席全員アイドルヲタで見てみたいなー。どっかアイドルグループ、対バンで呼ばないかな。

アイドルではないけど演者と客の距離がどうかしているといえばライトニングボルト。

Lightning Bolt @ Kings (Raleigh, NC) - 08/23/12 - YouTube

演者と客の距離がおかしい、といえばこれもか。最初から全部場外乱闘。

『BEST OF THE SUPER 路上プロレス〜変態大社長編〜』 - YouTube
こう見ると、最初からどうかしてる人じゃないとやってないな。

あと暴走ちゃんで始まって数分くらいの間、最前列の客の手に演者たちが踊りながらタンバリンとかブブゼラとか豆腐入りタッパーとか小道具を渡して必要なタイミングまで持ってもらうのが面白かったな。それも渡すときにすごい腰低く「よろしくおねがいします! ありがとうございます!」といちいち丁寧で。ただ、これもある意味「海外から見た日本人」的演出なのかなあ、と考えさせるくらい一事が万事過剰。もとより情報量が多い上に、さらにこっちに妄想までさせる。そりゃ最強としか言えないですよ。しばらく舞台系は見てなかったけど、これはひさびさにハマるしかないすごい奴。

*追記10.9 その後公演が”全編公開”されていた。全部で40分と短いけれど、試しに見るなら8分過ぎからの展開。あらためて見ると曲のつなげ方も現場で感じた以上にクイックで、勢いありきに見えて細かさあるのがよくわかる。

騒音と闇 Noise and Darkness from MissRevolutionaryIdolBerserker on Vimeo.


わが名は小学生

わが名は小学生

I'm sick!!!

I'm sick!!!

*1:ちなみに『恋チュン』以降のAKB48は『ラブラドールレトリバー』『心のプラカード』など脱・躁的な方向なのが『アイドルの王者』として素晴らしいというか、自分的には魅力的です。意図的なのかはわかりませんが。

*2:ただ最近のアイドルグループ見てると、ももクロフォロワー的なのが古く見え、でんぱ組の躁的なところを薄くして空気だけ持ってきたような新人グループがちらほら目立つのを見ると、もう「躁合戦」の流れは変わりつつあるのを感じる。スピード(メタル的アイドルソング)も派手さ(EDM的アイドルソング)も限界まで来たというか。

*3:前作見てないから過去もそうなのかもしれない。旧日本軍的キャラやコスプレは珍しくないし。ただ、今「その形」であることはとても意味を感じさせられる。

*4:まあ、ないことはないんですが。おっぱいとか。