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サイタマビーチ

フリーライターの大坪ケムタの雑記とかイベントとかもろもろです。

あの頃の、そして次の「全力少女」たち。 / 2月4日SKE48研究生「制服の芽」公演感想

2月4日SKE48研究生「制服の芽」公演@SKE48劇場を見てきました。2月2日のナゴヤドーム公演のついで、というと聞こえ悪いけども、見る機会があるのなら初めての生「制服の芽」、見ない理由がない! 自分の中でいろいろ”開眼”した公演なので、生で見ておきたいのですよ、これは。

この1年ですっかりAKB系にハマったわたくしですが、最初の楽しみ方が「AKBグループの群像劇としての構造の面白さ」だったのが、ちゃんとグループ・曲・ライブに興味持たせるようになった理由にSKEの『恋を語る詩人になれなくて』の”ある動画”を見たことが大きくて。2012年の「Uta-Tube」で流れた、斉藤真木子の鬼神のようなダンス*1 。きっかけはそこだったのだけど、何度も見るほどに『詩人』全体がどこか歪に見えた。それは、楽曲がストレートなポップスなのに対して、明らかに「こんなダンス踊ってたら絶対歌えないだろ!」と思えるほどに振り付けが過剰だったこと。特にサビ部分の激しい動きは今まで見たアイドルとは明らかに異質だった。

アイドルのリップシンク、いわゆる口パクについてはいまだになんやかんやと言われるけれど、口パクを使わざるを得ないくらいの「別の何か」がそこにあれば別にいいんじゃないか? と自分としては思っていて。実際『恋を語る詩人になれなくて』は口パクだけど過剰過ぎるダンスがあった。女の子たちの熱を伝える、表現するために歌わせるより踊らせた、という選択。その「解答」がしっくりくるから別に口パクでも許せる。

あの動画を見て、アイドルって音楽ジャンルじゃなくて、総合的なエンタメジャンルだ、とあらためて思うようになった。「アイドルは生歌じゃないからダメ」は「テクノは機械が演奏してるから魂がない」と似たようなもんだ。*2 もちろん歌も大きな表現の一手段なのは言うまでもないので、それを磨くことも大事だけども。

そんな『恋を語る詩人になれなくて』は秋元康プロデューサーが振付師の牧野アンナ先生に「踊りまくる公演に」と依頼したといわれる公演『制服の芽』の1曲目。SKE48の中でもフラッグシップチームであるチームSが長期間に渡って磨き上げ、いまだ他グループでの公演を許していない”名古屋の至宝”的セットリスト。それが現在研究生に引き継がれ、評判が良いと聞けば見にいかざるを得ないですよ、そりゃ。

ステージが暗転し、OVERTUREからの『恋を語る詩人になれなくて』。オープニングの全員ジャンプでいきなり胸鷲掴み。明らかにアイドル的な可愛さよりも、伸びやかさ・激しさ・真っ直ぐな強さを引き出したようなダンスにもう惚れ惚れ*3。それ以外にも冬服脱いで夏服になる衣装替えで表現されてるような熱いフレッシュさが滾るタイトル曲『制服の芽』、大バカな歌詞とダンスのコミカルさ、それとファンク系の楽曲が三位一体でブチ上がる『ピノキオ軍』、もちろんドームで聴いても劇場で聴いてもただただ胸が熱い『仲間の歌』、若いうちしか歌えない戸惑いや焦燥感を描く歌詞が素晴らしい『水のないプール』などあらためて名曲揃い。公演で見るとまた印象が俄然上がるしね。

メンバーで素晴らしかったのは”くまちゃん”こと熊崎晴香。細いのにパワフルで色気もある。特に『思い出以上』で見せる絶対的センター感が強烈。後半までテンション落ちなかったのとかもう化け物かと。良い意味でAKB系ぽくないというか、他アイドルのセンターでもおかしくない存在感と愛くるしさがあるのが北野瑠華。『詩人』ソロダンスも良かったけど、これで見てすごく気になってた「ピノキオ軍」のアホ顔がさらにパワーアップしてたのには笑わされつつも貪欲さに感心した。連日正規チームのアンダーとして出演し権藤権藤雨権藤級の活躍と評判の野口由芽は位置的にあまり見れず。でも『枯葉のステーション』の薄幸オーラはドハマリだったなあ。あと「姪に欲しい」感満点な可愛げの青木詩織への劇場を揺るがす「おしりん」コールに笑った。アイドルライブで「お尻!お尻!」て、みちのくプロレスでの「人生!人生!」コールばりの意味わかんない感がいいです。

中でも個人的に一番印象に残ったのは折戸愛彩。迸る全力ダンスとパッと客席を照らすような笑顔をどこのポジションにいても目に焼きつけてくる。「狼とプライド」みたいな可愛い系はそれほど印象強くはないんだけど、「詩人」「制服の芽」「ジェラシーのアリバイ」「楽園の階段」みたいな曲での恐るべき膝上げやターンのキレとパワフルさ。表現力や色気といったトータルではくまちゃんの方が一枚上なんだけど、最後方まで汗しぶきが届いてくるようなパッションの爆発力が凄い。感電少女ならぬ放電少女だ。SCHOOLGIRL DISCHAGEABLE ADDICTですよ。1コメダとか見るとおっとり素朴系なんだけどねえ。

研究生「制服の芽」公演はDMMで初日を見てたとはいえ、生で見たのがこの日初めてだったのでメンバーそれぞれの印象の方が強く残ったのだけれど、この日は実はすごい”事件”の日だった。ある意味大当たり。

自分がはじめて気づいたのは8曲目「女の子の第六感」。5人のユニット曲で長身ゆえ目立ったのが大脇有紗。「なんかすごい衣装短いなあ、中のスコート見えてない?」と衣装に違和感あったのだけど、よく考えてみたらその前にやった全員の自己紹介では彼女の「自称美人」アピール聞いてない。つまり自己紹介でいなかったのに、ここに出てるってどういうこと?

数曲終えた次のMCでわかったのが、最初に出演してた竹内彩姫が途中で捻挫で退場。「たまたま劇場にいた大脇有紗に出てもらうことになりましたー」って、公演中の緊急出演って聞いたことないよ! ミッシェルガン大脇有紗! 固定メンバーではないAKB系だから出来る「代打出演」とはいえ、ポジションによって細かくダンスも違うし(しかも16パターンある)、本人も「ヘタな歌を聞かせてしまって…しかもノーメイクなんです」とMCで言ってたけど、おそらく数秒数分で決断を迫られたはず。実質準備ゼロでの出演は度胸と侠気、そして自らの経験に対する自信がないと出来ない。いやあ、ありたん格好いいわ。

しかもこの公演、後半ではさらに鎌田菜月も体調悪化で離脱。アンコール後での『賛成カワイイ!』で2人くらい転んでたり、たしかに終盤バタバタしたところもあったように思えたけど、トータルでいえば最初に目についたような女の子たちが放つ熱の方が圧倒的に印象的だった。2人抜けたからこそ気迫が凄かったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。ただ良かった。そう思えただけに、裏のドタバタぶりを感じさせなかった(最小限のアナウンスはしつつ)のが凄いな、と。

公演終了後にまとめサイトやブログを見ると、あらためてその”緊急事態”さがよくわかった。ファンサイトを見ると「早々に抜けた竹内のボーカルパートを全部野口由芽が埋めてた」なんて記述もあって、さすが鉄人ゆめちにして、それに気づくヲタの人もスゲエ。そういう後情報を読んだ上で、最後の挨拶での松村香織のマイク「今日はいろいろトラブルがありましたけど、みんな協力して助けあって、成長したなあと思いました」というのにもしみじみした*4。公演名のとおり、本当にアイドルの「芽」を見にきたんだなあ。しかもしっかり根を張って伸びてるところを*5

自分がももクロを最初に生で見たのが2010年の11月。そのころ周りのアイドル好きの先輩からよく聞いたのが「前はSKE好きだったけど、今はももクロ」という言葉。特に同年8月SKEとももクロが対バンした「アイドルユニットサマーフェス」で転んだ、という話だ。自分は逆にももクロ→SKEと見るようになったけど、たしかに女の子たちが放つ汗と熱、いわゆる「全力感」という意味で当時通じるところはあったのだろう。

その後「全力少女」というキーワードはももクロのものとなったけれど*6SKE48はいわば「アーリー全力少女」。その頃の追体験を今のSKE48研究生公演では出来るのかもしれない。そして「次の全力少女」は彼女たちなんじゃないかと。
  
【関連】いちおう時系列で。
SKE48研究生公演、大脇有紗が『女の子の第六感』にスクランブル出演!!:SKE48まとめエンクラ
SKE48竹内彩姫が足の捻挫のため本日の研究生公演を途中離脱:SKE48まとめエンクラ
SKE48大脇有紗、研究生公演スクランブルのためノーメイクでの出演:SKE48まとめエンクラ
SKE48トラブルが発生した本日の研究生公演、松村香織の最後の挨拶がとても良かった:SKE48まとめエンクラ
 

制服の芽

制服の芽

*1:前にYoutubeにあったのが消えて中国のYにあったり

*2:なんてことを前twしたら50とかRTがついた。 https://twitter.com/kemta/status/408187603507097600

*3:某デイリーなモーションに研究生公演初日のがアガってるけどそれもヤバい。YAVAY!

*4:ナゴヤドームでは彼女のソロがけっこう泣けた。ワンツーは打てないけどカウンターだけが凄いボクサーが世界取った感。あと研究生公演でMC以外でぜんぜん目立たないのは偉いというかそりゃ慕われるわと思った。

*5:退場した2人も共に軽傷で復帰も早くてよかった。

*6:今彼女たちに対して「全力少女」的コピーは有効なのだろうか。純粋な疑問として。

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