サイタマビーチ

フリーライターの大坪ケムタの雑記とかイベントとかもろもろです。

2013年、いまさらながらAKB48を知るの巻。

今年はオールアバウトのアイドル・タレントガイドを担当させてもらったり、直近だと『EX大衆』の特集「アイドルオタクの肖像」はじめアイドル関連の原稿をちらほら書かせてもらいました。ただ、アイドル運営やファンの人の取材はいろいろやったけど、アイドル本人のインタビューは一本もないというね…。その立ち位置、結構好きですけども。

アイドルを見るようになったのも10年前の自分からすると意外だけど、アイドル見るようになった自分としても意外だったのが、この一年でAKB48グループをずいぶん楽しめるようになったこと。ここ最近の夜の日課がAKBチケットセンターの「『手をつなぎながら』公演 落選」の列を見ることですよ、とほほ…。

アイドルを見るようになっても、AKBというアイドルグループは自分が見てるのとは別というか、別すぎて興味持てないというか、世間の「ディスられる対象としてのAKB」しか知らなかった。だいたいこういうやつ。

・可愛くない。
・面白くない。
・曲が良くない。
・口パクだ。
・人が多すぎる。
・握手会商法がイヤだ。

いやあ、こう書くと気持ちいいくらい全否定ですね。「可愛くない」から入る時点でアイドルのアイデンティティとしてどうかと。でも言われがちじゃないすか! 最後の2つ以外はもう理屈じゃなさすぎてひどい。

それで自分としては他のアイドルを見て十分楽しめてるし、わざわざAKBを嫌う要素はないのだけど、

・劇場とか抽選倍率凄すぎてライブ見れないんだよね?
・見れても東京ドームとかだしなー。
・握手会とか1時間とか並んで数秒なんでしょ?
・曲が王道過ぎてあんま刺激ないんだよなー。

ということで好きになる要素もないというか。「可愛い子がライブしてるの見て楽しい」なら、東京だと他にいくらでもいるもの。しかもチケット手に入れて見に行けるやつ。

特にAKBに興味持ちづらかった理由として、自分の中で特に大きかったのは「メンバーが多すぎる問題」。職業的に致命的なほど人の顔を覚えない自分、ももクロの(当時)6人ですら色分けがなければ怪しかったもの。戦隊カラーは歴史的発明だよ…。それがAKBともなると、もうジャカルタや上海まで足すと350人近い大所帯、どこからどう掴めばいいんだよー! AKBが出るバラエティも見ないから「TVから親しむ」という手も使えない。

正直今でもAKBのバラエティはどれも見るのつらい。面白いなあ、終わるの惜しいなあ、と思ったのは『エビフライデーナイト』くらいか。「国民的アイドル」でありながら「夕焼けニャンニャン」「SMAP×SMAP」的大看板がないのを見ても、ほんとに一般に広める気ならもっといい時間帯で本気のバラエティ番組は必要だと思うのだけどな。音楽番組で「AKB48 SHOW!」があるだけに。BSだけど。まあそれをやってるのが「めちゃイケ」なのかもしれないし、自分が単にフジのああいうドタバタなバラエティが嫌い過ぎるだけかもしれんけども。

話を戻して、そんな感じで「メンバー覚えられない!」「入口が見あたらない!」状態だったのだけど、ある日自分の中で「あ、これは『三国志』や『戦国武将もの』『幕末もの』と同じ群雄劇なんだ」と気づいた瞬間にスッキリした。別に誰かメンバー1人を中心に見なくてもいい。事件が起きて、それにまつわるうねりだけを見て楽しめばいいんだ、ということ。総選挙やじゃんけん大会といった「用意された事件」もあれば、坊主とか合コン発覚といった「突発の事件」もある。今年は主要メンバーの卒業も相次いだ。歴史本見る感じでいいんだ、てこと。となると、もともと世界史好き、三国志好きな自分としては見るアングルがキッチリ固まってきた。

いわば350人のキャラクターが登場する、さらにストーリーを全く知らない「信長の野望」を見てる感じ。プレイは出来ないので鑑賞モードですね。それをリアルタイムで見てる間に「本能寺の変」「赤壁の戦」クラスの事件がガンガン起きたら面白いですよね? そういうことだな、と。

こちらの見方は全体を俯瞰するでもいいのだけど、やはりその中で事件の中心である大島優子指原莉乃といったいわば信長・秀吉クラスを中心に見てもいいし、津軽の無名軍師みたいな立ち位置の研究生メンバーに注目してもいい。このゲーム感というか、グループ全体を俯瞰して見た時の面白さは他のアイドルにないもの。メンバーのファンを「○○推し」というけれど、遠いところから「事件推し」てのもアリだと思う。まあ、それでも見てるうちに個々のメンバーに思い入れを持ってきちゃうものですが。

次に自分が興味持てなかった理由なのが「ライブ見れない問題」。もちろんももクロをはじめアリーナクラスを完売するアイドルも増えてきたけども、AKB以外のアイドルを見るファンならもうちょっと下のAX・ZEPPあたりのイベントによく出るクラスのアイドルも見に行ってるだろう。ライブが魅力でアイドルを見に行く人が、わざわざAKBを選ぶわけがない。だって劇場で見れる人は抽選100倍、とか正直意味がわからない!こういうところから考えても「ライブアイドルからAKBにハマる人」はほとんどいないっぽいのは納得できる。なんで毎回ライブ見れて握手会で1分話せる所からAKBに行く必要があるんだ、と。

ただ「アイドルのライブを見るのは日常」なのは東京近辺の人だけ、なのを忘れてはいけない。全国の「ライブを見れないアイドルファン」を楽しませるAKB周辺の充実ぶりは、他のアイドルの追随をまったく寄せ付けないレベルにある。ブログ、google+、twitter(他アイドルに比べれば少ないけども)、そして何より存在が大きいのが「まとめサイト」。その日のAKBグループの動きが分かるまとめサイトは各グループいくつかずつあり、それを見てるだけで十分知った気になれる。そしてそれまで知らなかったメンバーもどんどん刷り込まれていく。

実際、今年のある一ヶ月間が家族の事情でアイドルのライブにまるまる行けなくなってしまったのだけど、そこで自分はすっかりAKBに染まりだしたのだよな。とりあえずPCの前にいるのでなんとなくまとめサイトを見る回数が増え、あらためてg+にメンバーを登録しだし…一度のこのサイクルにはまったら、あとは濃くなるだけ。1ヶ月間「ライブを見れないアイドルファン」を疑似体験することで、AKBというシステムの強度はよくわかった。本当よくできてる! 

この全体を俯瞰しながら歴史を見てる感じと、まとめサイトという「新聞」が毎日発刊される感じ、全てがAKBという「村」もしくは「箱庭」を見ている感じがする。格好良くいえば「AKBユニヴァース」で完結してる。

ちょうど今、初期の重要メンバーの卒業が続いて世代交代の時期なので、「歴史もの」でいえば動きが分かりやすい時期ではある。また指原率いる「HKT48」、峯岸みなみの「新チーム4」というすごいリベンジストーリーが想像しやすい2人のチームが勢いがあるのがまた見やすいというか。というのもあってこういう記事を書いたんですけどね。

今から入れるAKB48(再)入門!HKT48編 [アイドル・タレント] All About
今から入れるAKB48(再)入門!新チーム4編 [アイドル・タレント] All About
今から入れるAKB48(再)入門!ドラフト会議編 [アイドル・タレント] All About

あとAKBのファンの人、特に古参の人たちと話してみると、他のアイドルファンとも感覚がちょっと違ってて面白い。たとえば先日のAKBに次いでももクロが国立競技場ライブ発表し、それでモノノフが万歳したりアラシックがまたキー! てな反応がツイッター上で見られたけど、AKBのファンって国立に関しては淡々としてたと思う。大喜びでもなく、他ファンの反応に立ち向かうでもなく。

というのも、どこもアイドルファンて基本「潔癖さ」があると思うのだけど、AKBファン(でも特に濃い人)はこれまで傷ついてきた歴史がハンパないので、心の中に「情熱と冷静、そして諦め」がある。内部ならまだしも、外の力にいちいち反応しない。むしろ外からの否定や過去の傷がその後大いなるストーリーを生む強さも知ってたりする。

その「清濁併せ飲めるダイナミズム」は他のグループにないもの。他のグループで峯岸坊主事件みたいな事が起きたらえらい事というか、グループによっては「なかった事」さらに「引退」させるのがほとんどだろう。しかしAKBは是非はともあれ、その澱も露わにした。そして現在、降格した峯岸キャプテン率いるチーム4は劇場派の絶賛を浴びている。過去にはスキャンダルからそのまま首になった人もいるけど、ここ最近のスキャンダルからの復活を果たすドラマ、これは他アイドルじゃ見られない強みだと思う。ただ、これはヘタすると「はいはい、いつものね」と面倒くさいプロレスヲタ的虚無主義になりかねないんだけども。

「完結された箱庭」と「清濁併せ飲めるダイナミズム」、このふたつが織りなす「群像劇」。これがAKBの他のアイドルと違う決定的な魅力じゃないか、とこの一年見てきて思うようになった。こういう「構造」をいろいろ考えさせるアイドルはほんと一番最初にハマったももクロ以来かもしれないなあ。まあ、古参の人からすると烈海王ばりに「何今ごろ気づいてんの、貴様らの居る場所は我々が既に2千年前に通過しているッ!!」と言われると思うんだけどね。おっしゃるとおり。しばらくこちらで勉強させていただきます。

活字アイドル論

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